第1話「月の天使、再び」

エオニア戦役が終結して半年…

トランスバールは戦後の復興に懸命となっていた。
そんな中、シヴァ・トランスバールは自分が女性であることを明かす。
トランスバール史上初の女皇ということもあり皇国中が騒然となるが、人々のために懸命になる姿を見て、
上に立つものが男か女かと言う事はさして問題にはならなかった。

エンジェル隊は、皇国の至る所で任務に赴いている。
ランファ、ミント、ヴァニラはそれぞれの場所で復興支援を、フォルテはエルシオールと一緒に周辺宙域の調査に出かけていた。
また、地球側の新たな交流艦としてヒリュウ改と呼ばれる艦が、トランスバールに駐留するようになった。
地球では、半年の間にガンエデン事件が勃発したが、復興も進み、さらにゾヴォーグとの交流も始まろうとしているため、
更なる星間交流の架け橋としての可能性を持つようになる。
現時点での地球とトランスバールの関係は順風漫歩といった所である。

しかし、不穏な影があるのは世の常。
皇国領域内のレナ星系にて謎の貨物船失踪事件が相次いでいる。
皇国軍による捜索も続けられているが、以前行方はつかめず。
1週間の間にも4隻の貨物船が行方をくらましており、
強奪船団に襲われたかと実しやかに噂されているがその真相ははっきりせず、レナ星系では物資の不足が懸念されている。
そんなあやふやな状況の中で物語は始まる。


トランスバール皇国領域内のとある星系にある惑星スクワート。

そこには、エオニア戦役終結の立役者で、終戦を機に軍を辞めた英雄タクトとミルフィーユが隣同士のアパート生活をしていた。
タクトはチェス教室の先生のバイトを、ミルフィーユはケーキ屋の仕事で生計を立てていた。

そんなある日、二人は惑星スクワートの軌道ステーションに新設された遊園地「ギャラクティカ・ランド」にて、
デートをしていた。
その時、軌道上にて爆発が起こる。タクト達はすぐに軌道ステーションの避難用シャトルで脱出することになった。
脱出したシャトルを回収しようとしていたのは、かつての母艦エルシオールだった。
ガイドビーコンはエルシオールに繋がっている。
はやる気持ちを抑えつつタクト達はエルシオールに着艦した。

ミルフィーユ「うわー、懐かしい!;昔のまんまですよ、タクトさん!」
クルー「ちょっとちょっと、そこの人! 列から離れないで!」
タクト「ああ、君。すまないけど、ブリッジに上がる許可を貰えないかな?」
クルー「何いってんですか。民間人を……ってマイヤーズ司令!? 失礼しました!」
タクト「『元』司令官さ。敬礼はいらないよ。
 それより、くわしい状況を知りたいんだ。ブリッジに上がる許可をもらえるかい?」
クルー「は、はい! 今ご案内を……」
タクト「道案内はいらないよ。流石に半年じゃ忘れないさ。ミルフィー、とにかくブリッジに急ごう!」
ミルフィーユ「はい!」
そして、記憶を辿りつつエルシオールのブリッジにたどり着いたタクトとミルフィー。
扉の開く音と同時に目にしたのは、驚きの表情をするかつての仲間達だった。
レスター「……タクト!?」 アルモ「マイヤーズ司令!?」 ココ「えっ、ウソッ!?」
ミルフィーユ「こんにちは! お久しぶりです!」 アルモ「うっそぉ!? ミルフィーユさんまで!?」
ココ「驚きました……」 レスター「お前ら、何でここにいるんだ!?」
タクト「だって、俺とミルフィーはあの星に住んでるんだけど…」
レスター「そういえばお前、この星系に引っ越したって言ってたな。にしても、なんて偶然だ……」
タクト「それはこっちのセリフだよ、レスター。それよりも、どうしてエルシオールがここに?
 辺境調査に出かけてたんじゃ…」
レスター「それ所じゃなくなっててな。ココ、モニターに出してくれ」
ココ「了解、モニターに出します」
ココが移したモニターには謎の艦隊があった。
タクト「何だ、この艦隊は!?」
レスター「俺たちの敵だ。正体不明の強奪船団だよ。ニュースにも取り上げられてるだろう?」
タクトあぁ、それは知っている。けど、あれはレナ星系に出てるんじゃなかったのか?」
レスター「いや、最近じゃこのあたりにまで……」
ココ「敵艦隊急速接近中。;接触まであと3分」
レスター「アルモ、軌道ステーションからの住民の退去はまだ終わらないのか?」
アルモ「第1ゲートからの避難は50%完了。残りのシャトルが脱出するまで、後20分は必要です」
ミルフィーユ「た、大変です!どうしましょう……」
レスター「エルシオールは後続のシャトルの救援作業を行っている。俺はその指示をしなくちゃならん。
 そこでだ、タクト。お前に頼みがある。嫌とは言わせんぞ。エルシオールと、エンジェル隊の指揮をとってくれ」
タクト「だったら断るわけにはいかないな。わかったよ、レスター」 ミルフィーユ「タクトさん……!」
レスター「そうこなくっちゃな! 現在、エルシオールに搭載されているのは紋章機3機と、PT2機。
 その内PT2機と、紋章機2機が出撃している。アルモ、つないでくれ」
アルモ「了解!」
アルモが通信を入れると、画面に現れたのはハッピートリガー駆るフォルテと、
アルトアイゼン・リーゼのキョウスケ、ヴァイスリッターのエクセレンだった。
タクト「こちらエルシオール。皆、聞こえるか?」
フォルテ「こちらハッピートリガー……って、ちょい待ち! その声は……タクトかい!?」
エクセレン「うわぉ! 奇跡の再会って奴じゃない!」
タクト「やあ、フォルテにエクセレン少尉。それにキョウスケ中尉。久しぶり」
キョウスケ「…なぜ、マイヤーズ大佐がここに?」
タクト「いろいろと事情があってね。
 レスターの代わりに、オレがエンジェル隊の指揮をすることになったんだ」
フォルテ「事情ね……。ま、話は後でゆっくり聞かせてもらうよ」
エクセレン「そうね。今は避難民を護るのが先だものね」
ココ「所属不明艦のうち1隻が、こちらに急速に接近してきます!」
レスター「何ッ!?」
タクト「フォルテ! キョウスケ中尉! エクセレン少尉!」
フォルテ「いや、この場合は……」 キョウスケ「アイツの出番だな」
タクト「え?」
エクセレン「頼んだわよ〜! ちーちゃん!」
???「了解です、エクセレン先輩……当てます!」
聞き慣れぬ声を聞くや否や突如一条の光が突撃してくる戦艦を貫いた。
ココ「敵艦動力部に命中!;撃破しました!」
レスター「相変わらずの腕前だ。敵動力部にピンポイント射撃とはな」
タクト「一体どういう事なんだい?」
レスター「もう1機の紋章機だよ。アルモ、スクリーンに出せ」
通信画面の横スクリーンに、新たな映像が映る。そこには、紺色のカラーリングが施された1機の紋章機があった。
タクト「これは……?」
ミルフィーユ「紋章機……ですよね? でも、こんな形のは見たことないです」
ちとせ「こちら、シャープシューター。烏丸ちとせ少尉です。エルシオール、応答願います」
タクト「えっ? 誰だって?」
レスター「烏丸ちとせ。2週間前に配属されたばかりの、エンジェル隊の新隊員…。
 しかも、キョウスケ中尉たちと同じ地球出身だ」
ミルフィーユ「新隊員…ですか?」
ちとせ「お初にお目にかかります。マイヤーズ元司令。
 事情はフォルテ先輩達との通信で理解しました。戦闘指揮のほう、よろしくお願いします」
タクト「こちらこそよろしく。烏丸少尉だっけ?」
ちとせ「はい、烏丸ちとせと申します」
タクト「活躍に期待しているよ、烏丸少尉」
ちとせ「はい。ご期待にそえるよう、精一杯がんばります!」
フォルテ「挨拶は済んだかい? それじゃ早速指示を頼むよ」
ミルフィーユ「あのう……あたしも出撃しましょうか?」
エクセレン「あらら…ミルフィーちゃんもいたの?」
ミルフィーユ「はーい、実はいるんです」
フォルテ「……まぁ、タクトがいるんだから当たり前か。
 何、あんたが出るほどの相手じゃない;そこであたし達の活躍を見てな」
ミルフィーユ「わかりました。皆さん頑張ってください!」
キョウスケ「そろそろいくとするか、司令」
タクト「わかった。皆用意はいいな?」
フォルテ「こっちは問題ないよ」
ちとせ「シャープシューター、準備完了です」
エクセレン「こっちもキョウスケもいつでもオッケーよん!」
フォルテ「ミルフィー、万が一ってこともあるから、空いてる席にちゃんと座ってなよ」
ミルフィーユ「はい、フォルテさん」
タクト「それじゃあ、エンジェル隊、出撃だ!」 全員「了解!」

☆味方初期
エルシオール(タクト、レスター、アルモ、ココ)、アルトアイゼン・リーゼ(キョウスケ)、
ヴァイスリッター(エクセレン)、ハッピートリガー(フォルテ)、シャープシューター(ちとせ)
★敵戦力
スパード級駆逐艦、バーメル級巡洋艦、ゼカリア、ハバクク、メギロート、ヨエラ

ココ「敵艦隊、全て沈黙しました」
タクト「よし、よくやってくれた。全員、帰還してくれ。
 でも、なぜ今頃無人艦隊が……皇国に何が起こっているんだ」
(MAPクリア)

アルモ「軌道ステーションから脱出したシャトルの収容、完了しました」
レスター「これでどうやら一息つけそうだな。タクト、お疲れさん」
タクト「お礼ならみんなに言うべきさ。
 久しぶりに見たけど、フォルテやキョウスケ中尉達の腕前、ぐっと磨きがかかってたなあ」
ミルフィーユ「みなさんもさすがですよねー」
タクト「それに、烏丸少尉も新人とは思えないじゃ働きぶりだったし」
ミルフィーユ「本当ですね。見ていて凄いなーって思いました」
レスター「なに、お前の指揮も鈍っていなかったぞ。やはりエンジェル隊を扱わせたら、お前の右に出るヤツはいないな。
 でだ、折り入って相談がある………エルシオールに戻ってこい」
タクト「……どうせそんなことだと思ったよ」
レスター「最近、皇国のあちこちに今みたいな無人艦隊が出没し始めている。
 軌道ステーションや、輸送船団が次々と襲われているんだ」
タクト「ニュースでもやってたな。;貨物船が行方不明になっているって。
 ……だけど、さっきの敵は組織だって動いてた。;素人のそれじゃない。組織だって動く、黒い無人艦隊か……」
レスター「……やはりお前もそう思うか」
タクト「エオニアがらみ、か…」
ミルフィーユ「ええっ!?
 だって、エオニアさんはあたしたちと地球の皆さんがやっつけたじゃないですか」
タクト「だとすれば、エオニアの幽霊かな? とにかく、敵は間違いなくあの無人艦隊だ。そうだろう?」
レスター「まだ確証は持てないが、おそらくそうだろうな。
 皇国軍は、半年前のエオニア戦役の痛手から、まだ立ち直っていない部分もある。
 無人艦隊に対処するのも人も艦も足りないのが現状だ。
 辺境調査を行っていたエルシオールや新たに駐留してきた地球の艦『ヒリュウ改』までこうして駆り出されてな。
 この星系で敵の情報を集めつつ、新型紋章機の運用試験をしていたってわけだ」
ミルフィーユ「烏丸さんの乗っていたやつですね」
タクト「でも、紋章機2機とPT2機だけじゃツラくないか?他のみんなとは合流しないの?」
レスター「ランファやミントたち、残りのエンジェル隊もそれぞれ他の星系で対応に追われている」
タクト「人手不足が深刻ってわけか。それで、オレに現役に復帰しろってか?」
レスター「エルシオールの司令官に戻ってくれ。今の皇国には、お前の力が必要なんだ。
 それに正直な話、俺にエンジェル隊の指揮はとれそうにない。
 俺なりに頑張っては見たんだが……。いろいろと頭が痛くなることが多くてな」
タクト「なるほどなぁ。でも、オレはミルフィーと……」
ミルフィーユ「タクトさん、また司令官になるんですか? すごいじゃないですか!;あたし、大賛成です!」
タクト「ミルフィー、本当にいのかい?」
ミルフィーユ「はい! さっきフォルテさんたちの指揮をとっていたタクトさん、かっこよかったです。
 それに、みんなもタクトさんを必要としていると思います」
タクト「……ミルフィーがそういうんなら、オレが悩む必要はないな。
 わかったよレスター。エルシオールの司令官、引き受けよう」
レスター「よし! というわけで、早速仕事に取り掛かってくれ」
タクト「え? 辞令とか待たなくていいの?」
レスター「そんな悠長にしている時間はない。だが安心しろ、正式な手続きもとっておく。
 お前の予備役からの復帰と、エンジェル隊司令官への就任。まとめてやっておくさ」
ミルフィーユ「なんだかレスターさん、すごく嬉しそうです」
タクト「そりゃ偏頭痛の悩みから解放されたんだ。嬉しくもなるさ」 ミルフィーユ(偏頭痛?)
レスター「それじゃタクト、話が決まったところでみんなに最初のあいさつをしてくれ」
タクト「それもそうか。
 そういうわけでまたエルシオールの司令官をやることになったよ。アルモ、ココ、またよろしく頼む」
ココ「こちらこそ、よろしくお願いします。マイヤーズ司令」
アルモ「……あのう」 
タクト「大丈夫。レスターは今まで通りブリッジに詰めてもらうから安心してくれ」
アルモ「さっすがマイヤーズ司令! わかってますね!」
レスター「おいおい、何の話をしてるんだ」 アルモ「とっても重要な話です!」
タクト「さて、そろそろみんなが戻る頃だから格納庫に行くよ」
ミルフィーユ「あ、私も行きます!」
そして格納庫。
キョウスケ、エクセレン、フォルテとの再会、そしてちとせとの出会いを果たすタクトとミルフィー。
エクセレン曰く「レスターさん、ランファちゃんやミントちゃんたちに色々と弄ばれてたから、
 そのうちこめかみからチューって血が吹き出るかな〜と心配してたけどね」とか、
フォルテ曰く「エンジェル隊をうまく扱えるのは45口径リボルバーなみに神経がぶっとい、タクトだけさ」とか、
どうやらレスターはこの半年間かなり神経をする減らしていただろう。
そして、ちとせは、憧れの英雄であるタクトのフランクぶりに驚きを隠せなかった。
もちろんタクトやミルフィーを任務外では普通に名前を言っていい事に緊張が走る。
タクトは辛うじて言えたものを、ミルフィーにはさすがに「先輩」の尾ひれがつくのはご愛嬌。
そして、ブリッジに戻る事になるのだがフォルテはミルフィーをどうするのかと聞く。
ミルフィーは既にエンジェル隊をやめており、軍籍も無い。それにエルシオールは一応軍の艦である。
タクトは言うまでもなく一緒にいるということを告げる。
だが、それに渋い顔をするのはレスターだった。
ブリッジにて、これからの作戦を説明したあと、エンジェル隊在籍時のミルフィーの部屋は使えないという。
民間人が作戦会議に出ること事態が異常だとレスターは言う。
本来ならば、すぐにでも艦から降ろすべき民間人でもあるのだから。
だが、反論するのはエクセレン。
エクセレン「まあ、普通の軍だったらそうでしょうけど、何か納得いかないわね。
 フューリア戦役時代からはあたし達の部隊って半数が民間人だったし」
キョウスケ「俺たちとは事情が違うのだろう。だが、一応エルシオールのサブスタッフとして乗艦を許可するのが、
 レスター少佐にとっては最大限の譲歩だと言う事か」
レスター「タクト、流石にこれ以上は譲れんぞ」 タクト「…だったら仕方ないな。すまない」
レスター「分かればいいんだ。あいつを降ろしてしまえば、お前までがエルシオールを降り兼ねんからな」
そして、今後の行動について話した結果、
エルシオールは襲撃事件の場所であるレナ星系に向かいつつ、合流予定の仲間を拾う事に。
そう、レナ星系に向かう途中の進路には惑星オーブがあった……


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