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参・扉の開く日

 

 翌日。いよいよブリッジのゲートを開く日がやってきた。ゲートの前には様々な冒険者が集まってきている。そんな中にエクスたちがいた。

 ゲートの前には、結構長い間神官のぐだぐだな説明が延々と続いている。

 そんな中、ハガネがエクスたちはなしかける。

「…みんな、気づいているか?」

「? 如何したんだ?」

「…周囲の様子がおかしい気がするのだ。なにか熱気に当てられているような気がしてならない」

「言われてみればそんな気が…」

そういってエルフィアが周囲を見渡す。そして熱気を当てられている雰囲気の中に、七海もいた。どこか上の空な感覚である。

「七海さん、七海さん…!」

「ん?」

「本当に大丈夫ですか?」

「あ…ゴメン。大丈夫だから」

「遺跡の扉は明日の夜明けまでにしまってしまいます。それまでに、もっとも大きな発見をしたパーティには報奨金1万セプタが支払われます。では皆さん、探索開始です!」

そう神官が最後に継げたとき、ブリッジのゲートが完全に起動した。冒険者達が、続々とゲートに詰め寄ってくる。そしてエクスたちは見事に置いてけぼりモードになっていた。

「やべっ! 俺達も急ぐぞ!」

そう言ってエクスたちも入っていく。しかし。

「待て」

そう言ってスニーフがエクスの襟首をつかんだ。

「ぐえ」

一瞬のどを締め付けられたエクスだが、直ぐに落ち着きを取り戻す。

「な、なんなんだよスニーフ」

「ブリッジでのうかつな行動は死につながる。ここは慎重に固まって行動するんだ」

「あ、分かったよ」

そう言ってエクスは、それぞれのメンバーに合わせた陣形を整え、いよいよブリッジに侵入する。

ゲートを越え、ブリッジに侵入したエクスたち。ブリッジの風景は金属系のプレートで構成された一種のダンジョンみたいなものとなっている。その時、入り口のゲートが機能を停止してしまった。

「え、ちょっと! いきなり閉まるなんて聞いてないわよ!」

思わず喚く七海。いきなりゲートが閉じられたので、あたりはかなり暗い。そこでスニーフは、口径の大きい一丁の銃を取り出す。そこにエルフィアがたずねる。

「何に使うの?」

「照明弾を撃つ。俺達の頭上を常にキープするように仕込んであるから問題ない」

そういいつつ、照明弾を装填させた銃を、真上に向けて発射した。

眩い照明弾の光に照らされたのは、エクスたちだけではなかった。エクスたちの周囲には上の空のようにたたずんでいるほかの冒険者…もとい、冒険者の成れの果て。そして、その中に受付にいた穏やかな神官がいた。

「全く、いつまで待てばよいのかと思いましたよ」

そう神官はつぶやく。

「あらあら、どうして神官さんがここに?」

「しっ…むやみに話すな」

たずねようとしたフォウリィをスニーフが御する。

その間、ハガネはまだ生身を成している獣耳に意識を集中させる。そしてハガネは聞き取った。

「…蟻の声?」

「ほう…秘めた声を見破るとは…さすがカーディナルで戦いを学びし者。そしてほかの方々も只者ではなさそうだ」

そう言った神官の笑顔が内側から弾け飛び、一匹の蟻となった!

「うわー! 何これッ!」

思わず狼狽するエルフィア。そして周囲からどんどんとニンゲンの子供ぐらいのサイズをしているでっかい蟻の群れがわらわらと…そして冒険者達もエクスたちに武器を構える。

「あなた方には……我々の糧になってもらったほうがよいようですからね!」と言い終わるとキチキチと鳴く。

「こういうわけだったのか…」

スニーフはふとつぶやく。

「…報酬の話は全く出鱈目。ブリッジそのものがこの蟻達の巣窟だったわけだな」

「ですが、私達は如何すれば…」

 予想外の事態に判断しづらいフォウリィだったが、その横には物凄い形相の七海が一歩踏み出す。そして七海の心の中に何かがハジケた。

 「よくも乙女の体にいろんな事してぇ! 蟻の癖に生意気よッ!」

 そう言って七海は腰のホルダーに閉まっている紋章が描かれた細長いカードを取り出した。

まずは爆炎の紋章が描かれたカードを敵陣に投げつけ、一気に発動させて爆発を起こす。この一撃で冒険者の成れの果てと、蟻の集団の一部を見事に吹き飛ばした。

「これがあたしの心の痛みッ! さらに…」

続けて風刃の紋章が描かれたカードを手のひらで発動させて、剣を振るうかのようにカードを縦一文字に振り落とした。それと同時に強烈なカマイタチが巻き起こり、別の蟻の集団を切り刻む。

「これがあたしの体の痛みッ! そしてッ!」

止めと言わんばかりに神雷の紋章が描かれたカードを神官だった蟻の上に放り投げる。そしてカードが発動し、魔法陣が浮かび上がる。

「これがあたしのぉ…!」

そうつぶやきつつ七海は、意識を集中させ、上にかざした右腕を振り落とす。

「魂の痛みよッ!」

そう叫ぶと同時に巨大な雷が神官だった蟻の上に落とされ、その周囲の蟻もろとも散り一つ残さず消し炭にした。

「う、うわお…」

「乙女の恨みは恐ろしいってわけだね…」

 思わず感心するエクスとエルフィア。だが、七海はその後ふらっと倒れかける。

 「七海!」

 急いで駆け寄ったスニーフによって床に倒れるのを免れた七海。

「はは…思わず全力でやっちゃった」

「いきなり魔力をフル稼働させて全滅させるなど…素人のやることだ」

「悪かったわね…でも、本当に許せなかったからさ」

「そういうものなのか?」

「そういうことよ。魔力切れによる疲労だから、しばらくすれば大丈夫。早く行こうよ」

「ああ。たてるか?」

「それくらいなんとも無いわ」

そう言って七海は立ち上がり、攻撃に使ったカードを回収する。入り口が塞がれた今、残るはループ状態となっているもうひとつの出口を探すのみ。

エクスたちは奥に進むことにした。


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